「我が首には、千金万戸の賞金が懸かっていると聞く。それをお前にやろう」
項羽は呂馬童に向かってそう言うと、自ら首を刎ねて死にました。
彼の死体には恩賞目当ての兵たちが殺到して奪い合いとなり、その屍は五つに引き裂かれたと言います。
項羽の死後、劉邦は即位して帝位につきました。
漢代400年の歴史の始まりです。
張: ・・・・さあ、いかがでしたか。
項王、もとい項羽の最期の場面でしたが。
蕭: ・・・・・・。改めて彼の生き様死に様を、見せ付けられた感じですね。
項羽という人間には欠点も多く、彼の行った非道などは決して許されるものではない
のですが、やはり信念ある人間に対する尊敬の念を抱かざるを得ません。
特に彼が死に場所を探すように追っ手を迎え撃ち、己の強さを証明してから死のうと
する場面には凄絶さを感じます。
張: そしてこの場面には、やはり漢文で読まなければ伝わらない迫力もありますね。
虞美人との別れから項羽の自刎まで、一気に読ませる名文です。
ところで項羽の潔い最期に比べると、彼の屍を奪い合う兵たちの争いの醜さが
際立ちますね。
蕭: しかし彼の死体を持ち帰った五人は、それぞれ漢王から恩賞に授かりました。
人間の醜い部分も全て承知の上でお喜びになるのが漢王ですから。
張: 何を考えているのか底の知れない男ですよ・・・・何も考えてないのかもしれませんが。
最後にその、漢王の後日の述壊など紹介しながら、この紙芝居の幕を引くことに
しましょうか。
項羽を倒し、中国統一を果たした劉邦は、後に自分が天下を取り、項羽が天下を失った理由を次のように語りました。
自分は策を巡らすことでは張良に敵わず、補給や民政においては蕭何に敵わず、軍の指揮においては韓信に敵わない。しかし自分は張良・蕭何・韓信の三傑を使いこなした。そして項羽は范増一人すら使いこなすことができなかったのだと。